あらすじ
欲求不満な人妻、橋本由奈。パートをしている彼女は朝、俺とエッチな朝活をしてから職場のコンビニに向かう。
※約4100文字
欲求不満の人妻
夜明けにうずく女がいる。
彼女はカギを開けておいた俺の部屋にするりと入ってきて、俺が寝ている布団に潜り込んでくる。
深い眠りの中にいる俺にぴったりと身体を寄せ、頭を胸に乗せる。サラリと長い髪が広がり、同時にシャンプーの甘い香りが漂い始める。俺の眠りはまどろみのステージにまで引っ張り出されてしまう。
「うーん、おはよう……」俺が声をしぼり出すと、
「今日もきたよ」当たり前のように彼女が答える。
「今…何時?」
「4時半。1時間くらい、できるよ?」
彼女の手が俺の胸を優しくさすり始める。それで俺はもう1度、眠りの中に戻りかけるが、彼女がそれを望んでいないのは明らかだった。
彼女の唇が俺の首筋に押しつけられる。ハァ、と耳元で息を吐かれる。時折、彼女の指が乳首に触れる。
彼女は俺の身体を熟知しているので、そうすることは簡単だ。甘い刺激を重ねられれば、覚醒へと向かわざるを得ない。
「55分くらい、できるよ?」
「昨日寝るの遅かったんだ。今日は勘弁してくれ」
聞き分けのない俺を、彼女は決して許さない。胸をさすっていた手が、スエットの中にもぐりこんでくる。指で乳首をこねくり回され、スエットをたくし上げられ、今度は舌で乳首を舐められる。たっぷり唾液を含ませた唇でチュパチュパ音を立てて吸われれば、「うう…」と思わず声をもらしてしまう。
そして空いた手が、少しずつ下半身に降りてくる。みぞおちを通った指は、ヘソの周りを何周かして、やがて陰毛に達する。シャリシャリとかき回されて、さすがにたまらない気持ちになってくる。
「焦らし…かよ……」
「もう49分くらいしかないよ?」
「起きる! 起きるから握ってくれ!」
彼女はうったえを無視して、布団に入ったまま俺の下半身に頭を移動させた。そしてパンツごとズボンを脱がして、ぱくり。
まだ、くったりしていたイチモツは、ふいに温かいものに包まれてびっくりしたのか、みるみる膨張していった。
「ぐぁ……!」俺は思わずうめき声を上げる。
彼女の口の全部が元気に活動を開始する。舌がエラにねっとり絡みついたかと思えば、裏筋を幾度も往復する。その次は尿道の先だ。チョンチョンとつつき、また、エラに戻って絡みついてくる。
激しさはどんどん増すばかり。イチモツを頬にグリグリと押しつけながら、時に歯を当てる。突然の固い刺激に、俺の身体はビクリと反応する。
「や、やべえ…うぅ…」
頭も上下に動き出す。柔らかい唇が茎の部分を何度も往復し、ジュプ、ジュポ、とイヤラシイ音を立てた。
俺の下腹部は早くも爆発的快感の予兆に震えだす。そんな俺の変化を察知した彼女は、ジュルル、と思いっきり吸い上げてから口を離した。
――おい! 寸止め止めろ!
と、声を荒げそうになるが、こんなことはもう毎度のことだ。彼女が求めているのはギブ&テイク。奉仕活動ではない。俺だけが満足することを決して許さない。
なぜなら彼女は、欲求不満な人妻だからだ。旦那は朝4時に出勤するトラックドライバー。生活感のすれ違いが甚だしいとなげいている。もう何年もセックスレスだと憤慨している。
彼女は旦那を送り出してから、俺のところにやってくる。そしてコトを終えると、近所のコンビニに向かう。パートとして働いているからだ。
「あと41分。早くしてくれる?」
若干苛立っている彼女の名前は橋本由奈。俺が彼女と出会ったのは、三ヶ月前のことだった。
由奈との出会い
その日、休日だった俺は早起きしてランニングウェアに着替えた。もちろんジョギングをするためだ。
毎朝走ろうと決意したのは会社の健康診断で結果が芳しくなかったから。ウェアもシューズも新調して気合いが入っていた。
しかし運動不足だった俺は走り出して1分で息が上がり始め、3分後には足がつりそうになり、5分後には実際に足がつって転んだ。体中が痛かった。当然、そのまま走ることなんてできなかった。
早くもまとわりついてくる挫折の気配を振り払いながら、俺はコンビニに向かった。とりあえず水分補給をしようと思ったのだ。
ペットボトルの水と、今日だけと言い聞かせながらオリジナルスイーツを買い、店を後にしようとした時に、大丈夫ですか? と声をかけられた。振り返ると青いストライプの制服を着た橋本由奈がいた。
「あの、血が出てますけど大丈夫ですか?」
由奈は心配そうな表情で俺の肘のあたりを指差していた。見るとウェアが破け、すりむいた肘から血が出ていた。
「あ、まじかぁ……」
「痛そう」
「痛いです。傷も痛いですけど、このウェア買ったばかりなんです」
笑った方がいいのか悲しんだ方がいいのか分からない、という複雑な表情を浮かべながら由奈はバンドエイドを差し出してくれた。消毒液買っていきます? と商売っ気も忘れなかった。
「バンドエイドはいくらです?」
「ただですただです、私物です、差し上げます」
「消毒液は家にあるから大丈夫ですけど、美人ですね」
引かれるかな、と思ったけど由奈は笑った。
「またまたー。バンドエイドくらいで、そんなのいいですよ」
イケメンでもなければ金持ちでもないお腹ぽっこりの俺だが、物怖じしない、調子に乗りやすい性格ではあった。
「本当です。ほら、最近人気出てきた女優のよしだまりえ!」
「ちょっと止めてくださいよ。おこがましいですから。ファンの人に聞かれたら怒られちゃいますから」
由奈は恥ずかしそうではあったが、同時に嬉しそうでもあった。爽やかな早朝によく似合う美しい笑顔だった。口に出してみなければ何事も始まらないのである。出会いがあってナンボだ。臆してはいけない。
結局俺は挫折しなかった。
由奈に会うためにほぼ毎朝走った。接客中で会話できないコトもあったが、1週間後には目で挨拶できるようになった。1ヶ月後にランチを共にして、その半月後には朝から開店している居酒屋へ飲みに行った。
「ちょっと最近、旦那に対する不信感が強くて…あ、こんな話聞きたくないよね」
「そんなことないよ、続けて」
余計な口は挟まず、厚かましいアドバイスはせず、旦那の愚痴を丁寧に聞いた。
「俺なら由奈さんみたいなキレイな人、絶対泣かせたりしないのに」
いい感じにお互い酔っ払った頃、俺はそんなことを言った。嬉しい……、と彼女は瞳を潤ませた。居酒屋を出てラブホテルへ直行した。平日の昼間なので、休憩タイムは3時間4500円と安かった。よがり声が大きな女だった。
そうして今ではすっかり朝活が2人の新習慣になり、俺は走らなくなった。
朝活を終えて
「由奈さん、あと何分?」
「35分」
「濡れてる?」
「触ってみて」
「おいで」
腕を横に伸ばすと、由奈は這い上がってきて俺の腕枕に大人しく収まった。空いている手を彼女の下半身に差し入れて確かめるとすでに泉が湧き出ていた。
「大洪水だな」
「ばか」
俺は体を起こし、彼女の下半身だけを裸にした。これからパートなのだから全てをむいてしまうよりは身支度が簡単だからだ。
ベージュのぴったりしたタートルネックだけが彼女を覆う全てだったが、それはそれで、たわわな果実が2つの山を作る様子はやたらエロい。
何度か山を揉みしだいてから俺も下半身だけ裸になり、彼女の赤い傷口に固く怒張したモノをあてがった。
慌てているのか、飢えすぎているのか、由奈は自ら腰を動かして埋めようとしてくる。俺は腰を引いて意地悪する。
何度か繰り返すと、
「もう時間ないよ~!」由奈は切ない悲鳴を上げ、俺の乳首をつねった。ちょっと痛かった。
俺としてもここまできてのタイムオーバーはごめんだ。拗ねる由奈にいきなり突き刺した。秘肉をかきわけた怒張が深く埋まる。
「アァっ!」
由奈はのけぞり、端正な顔を歪ませる。彼女の声の大きさを知っている俺は、タオルを噛むよう指示を出す。由奈はそれに従う。
「んっ、くふぅ…」
くぐもった声もまた、実にエロティックだった。
残り時間は20分といったところか。楽しい時間は過ぎるのが恐ろしく早い。俺は何度も何度も秘肉をかきわけた。
かきわけるたびに、由奈は苦悶の表情を浮かべる。タオルを噛んでいて、ちょっとこっけいなはずなのに、由奈の顔はあくまでも美しい。
こんなキレイな人妻と関係を持てるしあわせを噛みしめながら動かしていたら、さっきの口撃の余韻が残っていたのか、爆発の予兆が下腹部に、アッという間に再生されてしまった。
「ごめん、俺、もう…」
前もって謝った。俺だけ満足することをつまり、由奈は快しとしないからだ。もちろん、謝ったからといって、はいそうですか、というわけにはいかないのだが……。
「ダメ、ダメだよぉ! 1人だけずるい!」
タオルから口を離した由奈が俺を非難する。申し訳ないと心の中で謝りながら、俺は彼女の腰をつかんでスピードを上げた。
「アッ、すごい、ヤバイっ、あぁっ、アッ!」
そして――。
由奈が腰を浮かせ、その体をひときわ大きくのけぞらせ、反り返った白くて細い首が目に入るのと同時に俺は決壊した。
欲望が濁流となって流れ出す。由奈の首よりももっと白いモノが大量に流れ出ていった。
やがて潮が引くように快感が去り、代わりに訪れた倦怠感の中、時計を確認すると残り時間は10分ほどだった。
「ごめん……」
もう1度謝ったら、由奈は瞳を閉じたまま小刻みに身体を震わせていた。彼女もちゃっかり達したようだ。この人妻はオーガズムのタイミングを調整できるのだろうか……。
そして彼女はコンビニへ
夜明けにうずく女が去っていく。
またね、と機嫌よく手をふり、コンビニパートへと向かう。
いつも寂しい瞬間だ。
この逢い引き、俺が主導権を握っているように見えるかもしれないが、握っているのは完全に彼女の方だ。
気が変われば、旦那との仲が回復すれば、彼女は俺から去っていってしまうのだろう。
いずれ訪れるかもしれない未来に怯えながら、俺は出社の準備をするためクローゼットを開けた。
肘の破けたランニングウェアがハンガーからずり落ちた。(おわり)
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