あらすじ
職場の同僚であるシングルマザー、芹奈さん。彼女とサシで飲みに行った帰り、自転車で送ってくれるという彼女の後ろから巨乳を……(まさかの!? セックスシーンありません)
※約5600文字
※画像はPixAI Asian Real Mix V2.0
シングルマザーの芹奈さん
「お礼なんてとんでもないです」
そう断ったのに、山口芹奈(せりな)は退かなかった。
「だめ。助けてもらったのにお礼もしないなんて、子どもに示しがつかないもん」
芹奈さんは小学校低学年の男の子を持つシングルマザーだ。俺と同じ職場で、同じ派遣として働いている。
「ちゃんと知ってるんだから。私のシフトを3日も引き受けてくれたから20連勤になって、そのせいでおでこに大きな吹き出物作って、口内炎もできて、カップラーメン食べるのにも四苦八苦してたって」
確かにその通りだった。俺は過酷な連続勤務の後半に体調を崩した。それでも芹奈さんが気にするといけないので、頑張って出勤した。
「ひどいよね。やむを得ない事情があるのに、シフトに穴を開けるななんて。休むなら代わりの人を探せだなんて。介護の派遣社員なんてまるで消耗品扱い」
でも、と芹奈さんは続けた。
「三島さんのおかげで子どもの風邪もすっかり良くなって、昨日から元気に小学校通ってる。だからご馳走させて。飲もう。色々話したいこともあるしさ」
仕事に対する不満もたまっているようだった。
確かに老人介護の仕事は過酷だ。
ギリギリの人数で回しているから、些細なことで現場に負担がかかる。
それに、と俺は思う。正直、芹奈さんと2人で飲めると思うと胸がはずむ。
俺の3つ上。この28才になるシングルマザーは、俺の好みなのだ。いや、男なら誰だって彼女に好感を覚えることだろう。
だって、優しい。お年寄りと接する時の慈愛に満ちた彼女の眼差しを俺も注がれたいと思う。
快活で、疲れていても笑顔を絶やさないその精神を見習いたいと思う。
彼女に面倒を見てもらえる老人を羨ましいと思う。
正面から抱きかかえられたおじいさんの体に押しつけられるオッパイ。メロンのようなそれがフニャリとつぶれる様子は、俺の心をかき乱す。
笑うとこぼれそうな白い歯も、ちょこんと愛らしい鼻も、ふっくらした頬にできるエクボも、肩までのセミロングも、細身なのに大きなお尻も、彼女を構成するパーツのひとつひとつが男を惹きつけて止まない。
「分かりました」俺は遠慮するのをやめた。「じゃあ、ご馳走になります。でもお子さん、大丈夫なんですか?」
ありがとう、と彼女が微笑む。
「心配してくれて。三島さんってホントに優しいよね。母にちょっとあずかってもらうから、大丈夫」
シフト表にさりげなく、しかし注意深く目を通した。3日後、2人とも早番で翌日休みの日があった。
即決だった。急な欠勤などが出てせっかくの機会がつぶれてしまわないよう、神に祈りながらその日を迎えた。
体が密着、彼女の占い
「かんぱーい!」
職場の最寄り駅にほど近いヤキトリ屋。
店の奥にある座敷で、俺と芹奈さんはジョッキを合わせた。
芹奈さんは半分ほどを一気に喉へ流し込み、ぷは~と一息ついてから満面の笑みを浮かべた。
「ヤバい。生き返る!」
見ているこっちまで幸せになれそうな笑顔だった。
「あーお腹すいた! えーとね、揚げ出し豆腐と、おしんこと、シーザーサラダ!」
ハキハキと注文する芹奈さんに俺は言った。「ここヤキトリ屋なんで。それ、いっさいトリ入ってないんで」
「あ、そういえばそうだったね」
「塩とタレどっちですか」
「タレ!」
「俺もタレ派です。適当に頼んじゃいますね」
そこそこ旨いがお手頃価格の店だ。
多少飲み食いしても芹奈さんのサイフに負担がかかりすぎることはない。そんな安心感と、初のサシ飲みという充足感。そして、夏が近づきつつある季節の黒いカットソー1枚という彼女のラフな姿に俺は酔った。
だって、体勢によっては開いた胸元からこぼれ落ちそうな谷間が見えたから。白いブラが目にまぶしかったから。
仕事の不平不満の話には全然ならなかった。そんなこと忘れるくらい楽しかった。
「ちょっと三島くん、こっち来て」なんて言われて。
「手相見てあげる」占いが得意らしかった。
芹奈さんはけっこう酔っていた。ぴったり隣り合ってお酒を飲んだ。彼女からはいい匂いが漂った。密着感がヤバかった。手相をなぞられてゾクゾクした。
ちょっと寂しいのかな、人肌恋しいのかな、なんて思ったりした。別れた旦那さんのことは聞かなかったけど。
2人いい感じに出来上がった頃、気がつけば終電が終わっていた。勇気を出してホテルに誘ってみようとドキドキしていたが、彼女は言った。
「そろそろ帰らなくちゃ。明日、子どもを動物園に連れてくの」
残念な気持ちがどっと湧いたが、子どもを出されるとどうしようもない。でも一応さりげなく食い下がってみる。
「ごめんなさい、俺のせいで終電逃しちゃいましたね。帰れます? もし帰れなければ、あの……」
「自転車だから」
芹奈さんは俺の言葉をさえぎるように言った。「普段はバス通勤なんだけど、今日は飲むから念のため。こっから30分くらいかな」
完全に希望が絶たれ、大きな期待の反動による絶望が深まった。お酒飲んでの自転車も本当はダメなんですけどね、と言いそうになったが、意地悪な気がして言葉を飲み込んだ。
「三島くんは? 帰れる?」芹奈さんが隣から俺の顔をのぞき込んでくる。
「あ、俺はタクシーで。いや、酔い覚ましに歩いて帰ろうかな」
「近いんだ?」
「1時間くらいあれば」
「ちょっとあるね」
彼女は少し思案顔をした後、じゃあ送ってあげるよ、と言った。
「あ、悪いからいい、なんて言わないでよね。誘ったの私だし、そもそも今日は三島くんありがとう的な会だから。主役だから」
希望が息を吹き返し始めた。
「私ね、田舎の出身だから、中学高校ってけっこう自転車こいでたから。まかせてよ」
芹奈さんがこぐ自転車の後ろに乗っている自分を想像した。股間がむくりと反応した。
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