【筆おろし】疲れ切った俺の初体験、叔母さんと夜の田舎電車で

男性視点

あらすじ

仕事に疲れ切った俺は、母親の故郷へ向かった。母親の妹である律子叔母さんに会うためだ。俺を迎えに来てくれた叔母さんと誰もいない夜の田舎電車の中で、昔話に花を咲かせているうちに、怪しい雰囲気になる。そして……

※約6500文字

30過ぎても、筆おろしはまだだった

 希望を持てない時代に社会人になった。

 新卒で入った会社はOA機器などの部品を製造する会社で、斜陽産業のクセに買い手市場だから高圧的だった。

 雇ってやってんだ、つべこべ言わずに働け、という空気が職場に充満し、俺は安い賃金でコキ使われた。 

 労働基準法無視の残業と休日出勤で疲れきり、ボロアパートに帰ってもマスをかく気力もない。

 イケメンでもなければ頭脳も運動神経も並以下だった俺だが、社会人になれば出会いのひとつくらいあるだろうと思っていた。そんなささやかな願いさえ叶わないのだと悟るまで、大して時間はかからなかった。

 風俗に行く気にはなれなかったから、30過ぎても、絶賛童貞継続中である。

 恋愛なんて、セックスなんて夢のまた夢。女なんて幻。結婚なんてもはや、地球上で発生している出来事とは思えなかった。

 何のために働いているのか一切分からないまま、奴隷のような生活を10年以上も続けていたある日の朝、俺の体は急に動かなくなった。

 起きてヨレたスーツに着替え、満員電車に乗らなければならないのに、布団から出ることができない。

 遅刻なんかしたら大変だ。

 なぜか俺を目の敵にする上司に、みんなの前で必要以上にどやされる。そして残業時間が倍に増える。それだけはイヤだ。そう思うのに、どんなに必死になっても指先に力が入らない。

 もがき、あがき、苦しんでいるうちに、スマホが鳴った。

 着信だ。

 俺なんかに電話をしてくるのは会社だけだ。もう始業時間になってしまったらしい。電話はすぐに留守電になった。上司の獰猛な声がさっそく俺をなじる。

 今まで1度だって遅刻したことなんてないのに、心配のひとつもしてくれないのか――。

「辞めてやる……」

 そうつぶやいた次の瞬間、俺の体はやっと呪縛から解放された。

 ひっきりなしに鳴り続けるスマホ。

「電話するヒマがあるなら仕事しろよ!」

 怒鳴って、壁に投げつけた。

 着信は止まった。スマホの寿命も尽きたらしい。

 疲れた心を癒やしたい。田舎へ行きたい。ふと思った。

 カタン、コトン。ローカル電車に揺られて、何も考えずにただひたすら窓の外を眺めていたい。

遠い日の夏休み

 イメージの中で海が広がる。

 幼い頃、家族で行った海。母親の故郷である瀬戸内の海。どこまでも透き通った海水。水平線に浮かぶ大型船。入り組んだ海岸線。強い風。まぶしい太陽。

 そして、新鮮なアワビ。サザエ。カキ。

 子どもの頃はどれも苦手だった。選り好みしていたのが贅沢なことだったんだと、今なら身に染みて分かる。得意先との接待で、時にうんざりするほどの金額が伝票に刻まれる品々だ。

「律子叔母さん……」

 久しく会っていない女性のことを思い出していた。母親の妹だ。母親とは少し年が離れている。

「元気かな……」

 いつも優しかった律子叔母さんも、今では50手前になる。数年前に旦那さんと死別したと聞いたが、今もひとり身だろうか。

 密かに憧れいた少年時代。

 田舎の人だからか、いつもわりと無防備な格好をしていた。

 開いたワンピースの胸元から柔らかそうなおっぱいと乳首が見えたこともあった。

 しゃがんだ拍子に白のパンティが見えたこともあった。

 アソコがむっちりふくらんでいた。

「叔母さん……」

 会って、優しくしてもらいたかった。

 俺は悪くないよって、慰めて欲しかった。

 居ても立ってもいられなくなり部屋を飛び出した。

 確か駅前に公衆電話があったはずだ。

 実家に連絡して、律子叔母さんの電話番号を教えてもらわなければ!

懐かしい叔母さんの声

『ケンちゃん!? あら、びっくり。久しぶり。今からこっちに? うん、それは大歓迎。じゃけぇ、新感線? 飛行機? どっちにしても夜になってしまうね』

 どうしたの、何があったの、と叔母さんは聞かなかった。

『それならケンちゃんのために、夜ごはん、美味しいもん作っとく。お腹空かしてくるんよ。ケンちゃん食いしん坊じゃろ、途中でお菓子を買い食いせんようにね』

 まるで俺を子ども扱いする彼女の声は、少ししわがれただろうか。だけど懐かしい、耳馴染みのいい優しい声だった。

『新感線ね。分かった。なら駅まで車で迎えに行くけぇ。新感線から乗り継ぎする電車は、一時間に一本も走ってないもん』

 お礼を言って、迎えを断った。

 どうしても田舎電車に揺られたい気分だったからだ。

 電話を切るとアパートまでの道を急いだ。

 自然に足早になっていた。

 ワクワクして仕方がない。

 またあの海に会える。律子叔母さんに、会える。

迎えにきてくれた叔母さん

 いい、と言ったのに律子叔母さんは新感線の改札を出たところで待っていてくれた。

「だって早く会いたかったんだもん」

 つんと唇をとがらせるその仕草は、15年近く前の記憶そのままだ。さすがに年を取ったが、太りすぎることもなく、昔の面影はそっくり残っていた。

 それに比べ、ストレスから暴飲暴食に走った俺の体ときたら……。

「叔母さんはキレイなままだね。なのに俺はこんなブクブクで。恥ずかしいや」

「男は痩せすぎより、お肉ついていた方が全然ええよ」

「最後に会った時は、俺もまだ高校生だったかな。今ではみすぼらしい、ただのおっさんだよ」

「そんな卑屈なこと言う大人になったん? ケンちゃんはケンちゃん。私の中ではあの頃のまんま。さ、行こう。電車に乗り遅れたら大変」

 律子叔母さんは俺の腕に自然に腕を絡ませてきて、俺を引っ張るように歩き出した。おっぱいが二の腕に当たっている。

 女の人に触れられたのは久しぶりだった。

 こんなに柔らかくて、温かいものだってことをすっかり忘れていた。

夜の田舎電車でふたりきり

 田舎電車は海沿いをゆっくり走る。

 俺と律子叔母さんはボックス席に対面して座った。夜だから窓の外は何も見えなかった。

「律子叔母さん」

「やだ。叔母さんって呼ばんで。何だか、年を取っちゃったみたいで切ないわ。まあ、取っちゃったんやけど……」

 叔母さんは、はにかんだ笑みを浮かべた。

「じゃあ、律子さん」

「何、ケンちゃん」

「ここからどのくらいだったっけ?」

「1時間くらい。お腹すいた?」

 いや、と俺は首を振った。

「何となくさ、何となくなんだけどさ、俺、無性に律子さんに会いたくなっちゃって。だから、迎えに来てくれて嬉しかった。律子さんこそ、あの頃のまんまだよ。キレイなまんま」

「やだ、さすがに大人になってお世辞を覚えたんね。もうおばちゃんだよ……」

 叔母さんも卑屈なことを言っている。

 そう思ったけど口には出さなかった。

「律子さんは覚えてないかもしれないけど、俺が高校生の時、律子さんと家でふたりきになったことがあって……」

 夏休みのことだった。

 家族で帰郷するなり、俺は熱を出して寝込んだことがあった。お盆だったから、みんなはお墓参りで家を空けた。

「律子さんが俺の面倒を見てくれるって、残ってくれたんだよね」 

「ふふ。覚えちょるよ」

「あの時、体を拭いてくれたでしょ。俺、裸にされて、恥ずかしいからイヤだったんだけど、パンツまで脱がされて……」

「すっごい汗だったもん」

「その、たぶんだけど、アソコ、大きくなってなかった?」

「なっとった」律子さんは笑った。「立派なモンじゃった」

「女の人に触られるの初めてだった。熱でキツかったんだけど、ドキドキしてたまらなかった」

 そこまで言うと、律子さんは突然ヒザを寄せてきた。

「ケンちゃんの体に興味があったの」

「え?」

「すっごいカチカチやった。本当は、そのまま食べちゃおうかと思った。じゃけぇ、姉さんの息子やし、熱やし、さすがに罪悪感があって」

「律子さん……」

「あの後もそれとなく誘惑してたんよ、けどケンちゃん乗ってこんかったもんねー。女としての魅力が足りなかったのかな」

 胸チラ、パンチラ。無防備な姿には、そういう意味が含まれていたのか……。

「違う。俺は、律子さんに憧れてたんだ。でも旦那さんいたし、俺、ガキだったし、どうしようもなかった」  

「今は?」

 俺を見上げてくる律子さんの瞳は心なしか潤んでいた。

「今も憧れてくれる? キレイだって、思ってくれる?」

「思ってる。思ってるよ! だからここまで来たんだ!」

 彼女の手が伸びてきて、戸惑いがちにアソコをさすった。

「あの夏の続き、ここでせん?」

「こ、ここで?」

「うん、ここで。他に誰もいないみたいやし……」

 あの夏の、律子さんの白いパンティーがアリアリとよみがえった。口の中がカラカラに乾いた。ノドがひりついた。頭に血が昇ってクラクラした。

 俺はやばいくらいに欲情した。

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