パート主婦が男子大学生とカラオケで怪しい雰囲気に……

人妻・熟年

あらすじ

「俺、歌が下手なのコンプレックスなんです。歌い方教えてもらえませんか?」と、パート先の大学生にお願いされたので、家事と子どもの世話の合間を縫って、ふたりでカラオケボックスに。全然そんな気はなかったのに、まだ昼間だったのに、お酒も入って変な雰囲気に……。監視カメラあるけど大丈夫!?

※約6100文字

ゴツゴツとした淳君の腹筋

 ~君だけを~愛してる~♪

 調子が外れた歌声。

 笑っちゃう。

 けど、淳(じゅん)君の顔は真剣そのものだ。

 せっかくかわいい顔してるのにな、と岩本真菜(いわもと・まな)は残念に思う。この歌声を聴いて気持ちが冷めちゃう女の子だっているかもしれない。

「どうですかね?」

 流行りのバラードを歌い終えた淳君が、モニターの前から不安そうに見つめてきた。

「そうだね、口だけで歌おうとしちゃってるから、もう少しお腹から声を出すように意識するといいかも」

「お腹ですか……」

「そ。腹式呼吸ってやつ」

 マイク片手にお腹をふくらませたり、引っ込めたり。深く息を吸ったり、吐いたり。淳君は腹式呼吸の練習を始めた。

 いい子なんだけどな。いい子なんだけど、やっぱり惜しい。基本的に淳君は不器用な子だった。腹式呼吸さえ上手にできない。

「いやいや、もっとこう、力を抜いて」

 真菜は焦れて立ち上がり、淳君の隣に立った。そして、彼のお腹に手をあてた。

「こうですかね?」

 淳君が腹式呼吸をするたびに腹筋が動く。意外と固いその感触にドキリとした。Tシャツの上からでも分かる、ゴツゴツした手触り。彼が呼吸を繰り返すたびに、それがうごめく。

「もっと、大きく呼吸して……」

 思わずそんなことを言ってしまった。

 真菜が旦那以外の男性の体に触れるのは、ずいぶん久しぶりのことだ。もっとナヨい男の子かと思っていたのに。

 彼の筋肉が動くたびに鼓動が高鳴る。この感情って、何だっけ?

 そんなことを考えつつ、真菜は淳君の顔を見上げた。キレイな肌だな、と思う。ぱっちり二重でまつ毛も長い。唇は血色がよく、ツヤツヤしている。

 腹筋だけでなく、淳君の顔にも触れてみたいな、と内心思った。

パート先の大学生

 真菜が淳君と知り合ったのはパート先だ。

 真菜には旦那と7才になる息子がいるが、息子が小学生になり、ぐっと手がかからなくなるのと同時にチェーンの定食屋で働き始めた。半年ほど前のことである。真菜が31を迎えた直後のことだった。

 仕事は楽しかった。主婦仲間のおしゃべりも、今時の若い子たちとのコミュニケーションも新鮮だった。

 淳君は同じお店のアルバイトだ。

 大学生の彼と真菜の接点は、週に1度だけ訪れる。

 まるで戦場のような金曜日のランチタイムを切り抜け、3時に上がって従業員控え室でお茶を飲んでいると、彼はひょっこり現われる。

 ウェーブのかかったブラウンの髪がふわふわした背の高い細身の男の子。チャラチャラしていそう。女の子を泣かせていそう。

 それが彼の第一印象で、決していいイメージではなかった。

 いつも入れ違いになるだけなので、挨拶を交わす程度の距離感だったが、先日開催された職場の飲み会で初めてお話をした。

 それまで持っていたイメージはすっかりくつがえった。

 真菜が適当に繋いだ言葉(例えば趣味を聞いたり学部を聞いたり)でも、彼はちゃんと考え、言葉を選んで誠実に答えてくれた。もちろん、好感度が一気に上がったのは言うまでもない。

 そして、二次会は定番のカラオケ。

 みんなに促され、真菜は1曲披露することになった。歌には自信があった。少し前にヒットしたポップスを声量たっぷりに歌い上げると、大歓声に包まれた。リクエストもあり、結局、続けて3曲も披露してしまった。

 淳君の歌声も聴いてみたかったので真菜はマイクを握らせたけど、

「いや~、俺はいいっす。岩本さんの後はキツいっす!」

 かたくなに拒むだけだった。

 その時は深く考えなかったけど、そうか。音痴だから恥ずかしかったんだなって、 今になって思う。

大学生相手に主婦の見栄

「ふぅ~、ちょっと休憩」

 淳君はモニターの前から離れ、真菜の隣のソファに腰を降ろした。

「あ、ここはもちろん俺のおごりなんで、じゃんじゃん飲み食いしてください」

 今までは何とも思っていなかったのに……。

 逞しい腹筋を触ったことで、とたんに異性として意識してしまった。

 簡単に触れることのできる彼との距離感にドキドキしていた。

「そ、そうね、じゃあ遠慮なく……」

 メニューに手を伸ばしたら、同じくメニューを取ろうとした淳君の指先に触れた。真菜は慌てて手を引っ込めた。

(若い子じゃないのに何今の反応!)

 これでは意識しているみたいだ。自分をふがいなく感じた。それで少し、真菜は大人っぽいところを見せようとしてしまう。

「ねえ、飲んじゃう?」

 大人、といってもカラオケボックスで張れる見栄などその程度だった。しかし、主婦なのに年下の大学生と昼間から、という背徳感は余裕のある大人の女って感じでなかなかいい。

「いや、俺飲んじゃうと音痴に拍車かかっちゃうし……」

 戸惑う淳君の肩に真菜は手を添えた。「少しくらい大丈夫でしょ。フリードリンクには含まれないから、お酒の分は私が出してあげる」

「あ、いや。俺、払いますよ。岩本さんの貴重な時間、俺のために使わせちゃってるの変わんないし」

「そう?」主婦としては、出費が減るのは単純に有り難い。

 ふたりは一緒にメニューを見て、飲むお酒を決めた。ふたりともハイボールにした。メニューを選んでいる間、淳君の顔が近かったけど、真菜はもう避けたりしなかった。

トキメク筋肉

 ちょっとお姉さんぶっただけなのに、気がつけばグラスは3杯、4杯と空になっていた。

 午後3時。外はまだ明るい。並んで座るふたりの距離は近い。時々、肩と肩が触れ合ったりするほどに。

 真菜は少し酔っている。

 頬が、ほわっと火照るのを感じていた。

 火照りの原因がお酒のせいだけなのか、隣に若い男の子がいるからなのか、あるいはその両方なのか、よく分からなかった。

「ねえ、淳君」さっき触った固い筋肉の感触が真菜の手の平に残っていた。「何かスポーツやってるんだっけ?」

「高校の時はサッカーやってました」

「おおーサッカー! うちの子も近所のクラブに入ってるよ」

「高校最後の大会でケガしちゃって。今は何も」

「でもさ、筋肉すごいね。お腹、カチカチだった」

「ああ」と淳君は微笑んだ。「筋トレは今でも欠かさないんです。クセみたいなもんで。鍛えてないと不安なんすよね」

 触っていい? と真菜は淳君の顔を下から覗き込んだ。そして、返事をもらう前に彼の腹筋に手を当てていた。

 うっとりするような感触。「鉄板みたい」とつぶやき、撫でた。5本の指に力を入れたり、弱めたり。

「ちょ、くすぐったいっす」

 淳君は身をよじった。かまわず撫で続けたていたら、淳君の視線が胸元に注がれるのを感じた。

 真菜はVネックの白いニットを着ていた。前屈みになっていたため、胸元がぱっくり開いていたのだ。

 旦那とお揃いで買ったニット。羞恥心と罪悪感が湧き上がってきたけど、それよりも好奇心の方が勝った。いつも腰が低く、謙虚な淳君がどんな変化を見せるのか確かめたくなった。

真菜は胸元を手で押さえて、淳君をにらんだ。

「どこ見てたの?」

「岩本さん、まずいっすよ」

「何がまずいの?」

「近いっす。変な気持ちになったらどうすんですか」

「変な気持ちって何?」

「俺も男なんで」

「男だから何よ」

「勘弁してくださいよ。言わせないでください!」

 真菜がイタズラっぽく微笑むと、淳君は勘弁してくださいよ、ともう1度言って、また身をよじった。その股間は少しふくらんでいた。

 色気なんて最近全く意識していない私にも、こんなに若くてかわいい顔の男の子を熱くさせることができるんだ、という充足感が真菜に芽生え始めていた。

 ここはカラオケボックスで、各部屋にはカメラも設置されている。そんなことは淳君にも分かっているはずだ。だから、淳君が狼になり、真菜に踏み入ってきたとしても胸を揉まれたり、キスされるくらいがせいぜいだろう。

 そのくらいなら、日常のちょっとした火遊びとして許されるのではないか。真菜がそんな風に考えたのは、お酒のせいでもあった。

「肌きれいだよね。女の子みたい」

 身を起こし、淳君の頬に手の平で触れた。そしてさすった。指先が彼の唇に触れた。淳君は避けなかった。

 そのまま親指の先で唇をなぞった。淳君は口を半開きにした。親指は彼の前歯に触れた。彼は舌を少しだけ出し、真菜の親指の先を軽く舐めた。

 淳君も同じように、真菜の唇を親指で触れた。真菜も舌先で舐めた。淳君がフーと細い息を吐いた。

「逃げるなら、今のうちっすよ?」

「逃げないとどうなるの?」

「こうなります」

 淳君は真菜の頬を両手ではさみ、顔を近づけてきた。

「きゃ~」

 かわいく悲鳴を上げた次の瞬間、唇が重なった。

「んっ…」

 声が出た。淳君はさらに強く唇を押しつけてきた。

 丹念なキス。

 上唇、下唇の順に優しく吸われ、舐められ、頭がボーッとしてきた頃、締まりのなくなった口内に淳君の舌が這い進んできた。

 舌と舌がからまる。にちゃ、と粘っこい音が漏れる。歯の裏側、舌の下側まで舐められ、体から力が抜けていく。

(こんなに甘くて激しいキス、旦那にしてもらったことない……)

 意識までトロトロになって、首が折れそうになり、後頭部を支えてもらった。完全に淳君のなすがままになってしまった。

 空いた方の手が胸に伸びてきて、表面を手の甲でさすられた。揉まれるのと違い、乳首が常に刺激される。ビクリと腰が引け、そのままソファーの上に押し倒された。淳君の口が離れた。

「ダメよ、ダメ。ここまでよ……」

 白っぽい意識のまま、どうにか声を絞り出したら、分かりました、と淳君は言った。

「分かりました。ここまでですね。そろそろ帰りましょうか」

 10も年下のクセに生意気だ。

 ちょろい、と思われたのかもしれない。淳君は真菜の頭や頬を撫でながら、起き上がろうとした。

(ホントに生意気! きっと私を試そうとしている!)

 そう思ったけど、勝手に腕が動いて淳君を抱き寄せていた。

「ここまで、じゃなかったんですか?」

「いじわる言わないで」

 再び濃厚なキス。何度も唾液を交換した。淳君の腹筋に触れて、撫でて、胸も触った。適度な弾力で盛り上がっていて、乳首を探ったらすぐに見つかった。

 指先で転がすと、

「うっ、それやばい!」 

 淳君は切ない声を真菜の耳元で出した。息が吹きかかった。

「アンっ」

 くすぐったくて、ぞくぞくして、思わず甘い声が漏れる。真菜は淳君の下半身に手を伸ばした。固くなったソレは、まるで凶器のよう。

 ジーンズの上から軽く握り、上下にさすった。

「あっ、ああ、岩本さん…!」

 さらに息を荒くした淳君に乳房をめちゃくちゃに揉まれた。

「んっ、アッ…! 淳君、私のアソコも触って…ハァ…」

 どうかしている。旦那と子どもの顔がチラつくのに、カメラがあるのに、欲望にブレーキが利かない。

 淳君にワレメをコスられているうちに、彼の凶器を受け入れたくて仕方がなくなった。

 きっと大丈夫。忙しい店員はいちいちカメラなんてチェックしていない。そんな都合のいいバイアスがかかった真菜は、「淳君が欲しい……」とささやいて彼にしがみついた。

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