あらすじ
大好きな彼とのドライブデート。雨のシャワーに隠されて、私はいつもより少し大胆になる。そのせいで欲情してしまった彼の意地悪な指に、海沿いの駐車場でもてあそばれる。
※約2300文字
車中で彼に指先を吸われて
彼が私の指先をちゅっと舐める。ただそれだけなのに。
甘い刺激が体を走る。
「美味しい」
にこっと笑いかけられて、はっとする。
「さ、最後の1個、食べる?」
「うん、ちょうだい」
まだ暖かい、コンビニの小さなナゲットを摘まんで、彼の口に入れる。
「君の、指も」
「うん、指に付いたの、美味しいよね」
彼の口に人差し指を入れる。ふたたびちゅっと吸われる。舌が指先を舐める。
ナゲット味の指を舐めただけ、それなのに彼のキスが欲しくなってしまって、彼の横顔を見つめる。
体を車のシートに軽く抑えつけられるような感じがして、車が停まった。赤信号。降りしきる雨の音が車を包み、車は外の世界から切り離されたよう。
彼が舐めてくれた指を、自分の唇に運んで吸う。濡れた指で唇をなぞる。彼とはまだ付き合ったばかりだし、エッチしたのもまだ数えるほど……。
それなのに、ただ指先を舐められただけで、彼の舌が胸の先っぽを這ったときの感触、唇を吸われた刺激が押し寄せてきて、じゅんっと濡れてしまう。隠すように足をしっかりととじ合わせたのに、ぬるりとすべり、もっと欲しくなって、もじもじと太ももをこすり合わせてしまう。
(やだ、はしたないよね……。私だけエッチなこと考えちゃった……)
恥ずかしくなって、そっと窓の外を見る。
「どうしたの? せっかくのドライブなのに雨だから、ブルーになっちゃった?」
私の気持ちを引き立てるように、彼が手を握ってくれる。恋人つなぎ。
彼は戯れに私の手のひらを爪で引っ掻く。指の間に指を幾度もすべらせる。
「はっ、んっ」
甘いうめきが唇からこぼれてしまい、ハッとして彼を盗み見ると、彼がいたずらな目をして、私の反応を見ていた。
「え……。やだ、わざと? もうっ」
彼の腕に寄りかかって抗議するけど、内心、ほっとしていた。彼が何もその気がないのに、自分だけ勝手に感じてしまったら恥ずかしい……。
気がつくと彼のもズボンの中で大きくなっているみたい。少し大胆になって、そうっと手を伸ばして彼のものを触る。
柔らかな感触。上下にさする。優しく。ますます大きく固くなる感触が手に伝わると、私の太ももの間も刺激を求めてうずく。濡れて、もどかしく、すれる……。
「好き……」
欲しいなんて言えないから、彼を見上げて唇をよせる。
彼は私を片手で抱き寄せて車を走らせると、急にハンドルをきった。
海岸に止められた車中で
「ゴメン、片手だから」乱暴な運転を彼が謝り、彼が車を停車したのは海岸の駐車場。雨の日に停まっている車はまばらでガランとしている。ワイパーが止まると、雨で外は見えなくなった。
グッと腕をひかれ、抱き寄せられる。彼の手が服の上から胸に触れ、先っぽをこすったかと思うと、もうブラジャーの下に差し込まれる。
甘い吐息がこぼれてしまう。
「でも……、誰か来るんじゃない?」
彼の与えてくれる刺激の中、やっとの思いでたずねる。
「雨だから……見えない」
誰かに見られたら困る、そう思うのに。他の人となら外でこんなこと、考えられない。だけど大好きなの。
「んんっ……」
大胆にスカートがたくし上げられ、彼の手が足の太ももの内側を這い上ってきて、そんな言い訳じみた事も考えられなくなってしまう。
彼の指は私を焦らすことに決めたようだ。足の付け根あたりをさまようだけで、肝心なところに触れてこようとしない。
意地悪しないで。
なんて、やっぱり言葉にできないので、私は彼の首にしがみつく。そして耳に唇をくっつけて挑発するように吐息を吹きかけると、彼の指はとたんに荒々しくなった。
下着の中に侵入してきた指先が花びらに触れた。それだけで、ただそれだけで、悦楽が全身をかけめぐる。
「あれ? もう濡れて――」
続きを言わせないために、私は彼の口を唇でふさいだ。すぐに彼の舌が侵入してこようとしたけれど、私は歯を合わせてそれを阻止した。
意地悪をされた仕返しだ。
彼の舌先はすぐにあきらめ、力を失った。その代わりショーツの中で止まっていた指が再び動き出す。かきむしるような動きだった。
「んんっ!」
声が漏れてしまう。同時に歯も開いてしまう。すかさず彼の舌が侵入してきた。
ずるい。
抗議の声を上げようとしたけれど、私の下半身にある指に力がこもり、そんなことすら適わない。花びらをかきわけて、どんどん奥まで進行してきてしまった。
「あぁっ!」
思わずのけぞる。かき回す指のネチっこさに耐えながら薄目を開けると、彼がやっぱりいたずらな笑みを浮かべていた。
人の反応を見て楽しむなんて。悪趣味にも程がある。
「んっ……」
彼の頬をつねると、
「ごめんね」
彼は笑みを浮かべたまま私の髪を撫でてくれた。そして私の下半身をいじめていた手を引き上げ、ぎゅっと抱きしめてくれた。
甘い。
彼が私にすることの全てが甘いのだ。
まだ体の芯に残る快感を引きずりながら、私は彼の胸に顔を埋めた。優しい鼓動に包まれてすぐに眠くなってしまった。
「このまま、こうしててもいい?」そう言って目を閉じた。
窓を叩く雨の音が私にさらなる睡魔をもたらす。とろん、と溶けてしまいそうな幸福感に身をゆだねていたら、
「ここじゃアレだし、ホテル行かない?」
彼がやや言いにくそうに切り出してきた。
ちょっと億劫だな。
心の中でつぶやきながら、私は彼の胸の中で小さくうなずいた。(おわり)
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