イケメン店員に、試着室でまさぐられた身体

人妻・熟年

あらすじ

来週開催される同窓会のため、幼い息子を旦那にあずけ、ショッピングモールへ服を買いにきた私。のんびりした気分は、しかしアパレルショップのイケメン店員によって奪われてしまう。まさか狭い試着室で、身体を重ね合うことになるなんて…

※約4600文字

試着室という密室

 からりと晴れ上がった空を鳥たちが飛ぶ。

 その様子をさっきまで、駐車場でのほほんと見上げていた私。なのに今……。

「キレイです、奥さん。とても」

 ショッピングモールのアパレルショップ。試着室で、片ヒザついたイケメン店員に、黒いストッキングの上から足をなぜられた。

「ちょっ、やめて、こんなところで…」

「こんなところじゃなきゃ、いいんですか?」

「それは揚げ足とりよ」

 貞操観念のかたまりだと自分のことを思っていた。高校時代、バージンを捧げた旦那と別々の大学に進んだ後も付き合い続け、卒業と同時に結婚した。

 ゼミのパーベキューではしゃいだ時も、会社の送別会で泣いた時も、お酒が入ると必ず旦那に会いたくなった。 

 旦那以外の誰にも見せたことのない肌。そのことに疑問を感じたこともない。

 最近髪の毛が薄くなり、お腹も出てきた旦那だけど、それでも愛情が衰えたと感じたことはなかった。一生旦那だけを愛し、添い遂げる人生。それが当然だと思っていた。

 なのに。

「ふくらはぎ、パンパンですね。頑張りすぎですよ」

 イケメン店員は優しく、柔らかく、ふくらはぎを揉み下してくれる。どう考えても普通じゃない。どうして私はそんな状況に身を委ねているのか。 

 胸の名札を確認すると『坂本亮平』とあった。初めて来店するショップで、彼とは初対面だった。

 なのに。

「けっこうマッサージ得意なんですよ。ほら、ここ、気持ちいいでしょ」

 私は、亮平君が土踏まずを指圧するのを制止できずにいる。疲れがほぐされていく心地よさのせいだけではなかった。もっと、深く、身体の芯に響いてくるような、味わったことのない感覚。

「亮平君……」

 やめてとも、もっととも言えずに、ただ彼の名前を口にした。このイケメン店員は女の扱いを心得ているのだろう。

 ひざまずく格好で、そのカワイイ顔に爽やかな笑顔を乗せ、上目遣いで見つめてくる。自分の魅力を信じている。癪に障る。

 なのに私は、亮平君の手が足裏から離れ、くるぶしを通り、ふくらはぎで止まらず、ヒザの裏をなぜられてもやっぱり拒否できなかった。

「んっ、くすぐったい……」

 拒否できない、だけではない。

 心では、もっと上まで這い上ってきて欲しいと思っている。でもそんなことは口に出せないから、亮平君の髪に指を絡ませる。ハァ…、と湿った声を漏らす。

「奥さん。本当にキレイな足です。素足も見てみたいな」

 私の返事を待たずに、亮平君の手は太ももをゆっくり這い上がってきた。どんどん核心に近づいていく。ゾクゾクして、高鳴る胸の鼓動が彼に聞こえないか心配した。

 期待という名の媚薬が私を狂わせる。

 亮平君の手が内ももから核心に最も近づいた時、反射的に片足を軽く上げてしまった。私がそうすることを分かっていたかのように、彼は私の足を抱え、自分の肩にまたがせた。

 無防備に開いてしまった股間と亮平君の顔が近い。ソコを指で押すのは簡単だ。なのに彼の指は核心の周囲をサワサワと這い回るだけで一向に触れてこようとしない。

「あんっ、ちょっとぉ…」

「ちょっと何ですか?」

「わざとでしょ…」

「わざと?」

 サワサワ、サワサワ。亮平君の指が私を焦らす。早く触って欲しくて私は腰をくねらす。それでも触れてこようとしない亮平君の頭上に、

「いじわるしないで…はぁっ…んん~」

 切ない吐息をたっぷり落とした。

「優しい旦那さんみたいですね」

 このタイミングでそうくるか。

 不用意な言葉だと思わないのだろうか。そのひと言で私が我に返るとは思わないのだろうか。いや、確信があるのかもしれない。私にはとうてい拒否できないと――。

 悔しいけどその通りだ。私の身体は焦れて焦れて、触れ欲しくてもう後にはひけなくなっている。

 むしろチクリと胸を刺す罪悪感が「うずき」を加速させる。

「あれ?」亮平君がふいに首をかしげた。「ちょっと匂うな。メスの匂い。奥さん、もしかして……」

 イジワルな男。絶対に分かっているクセに。女の泉が後から後から湧き出ているのだ。自分でもそれが分かる。

「触って…あぁっ…」

 とうとう言ってしまった。亮平君はニヤリと頬をつり上げるや否や、私の核心を指で押した。

「ンアッ、あ…っ!」

 身体に電流が走り、脳天まで達した。

「奥さん、これはすごい。たっぷたぷにあふれてるじゃないですか」

 私の羞恥をあおりながら、亮平君はグリグリと核心を攻める。指を押し込んでくる。ギリギリの理性で唇を噛み、声が大きくなるのをおさえた。

「んっ、くふぅ…早く、欲しいぃ…あっ、ん…お願い……」

 亮平君はいきなり。本当にいきなり。ストッキングをビリビリ破いた。

「やっ、ちょ!」

 そして乱暴にショーツをヒザのあたりまで下げて核心に顔を埋めた。ヌチャ、と粘度の高い音がした。彼の舌が赤く尖っているであろう蕾に触れた瞬間、身体がはじけた。

「アァァッ!!」

 悪いのは私じゃない。

 まるっきり理性を失ってしまった身体と亮平君のせいにして、快感に身を委ねようとしたら、さっきの旦那の言葉を思い出した。

 ――たまにはゆっくりしてこいよ。

 小学校に上がる前の息子を優しい旦那にあずけ、私は来週ある同窓会に着ていくための服を選びにきていた。

 食事をして、服を買って、映画を観て帰るはずだった。

 なのに。

 服を選びながら亮平君と世間話をしているうちに……。

狭い試着室で立ち正常位、奥まで埋められて……

 ハァ――ハァ――。

 核心を舐め回し、指でかき回していた亮平君は立ち上がり、私を抱きしめた。彼の息はすっかり荒くなっている。

 

「ここでこんなことするの、初めてです…奥さん、あぁ…」

「うそ。色んな人としてるクセに……」

 

 ふふ、と亮平君は私の耳元で笑った。「そんなことしてたら、すぐにバレてクビになります」

 一瞬言葉に詰まった。本当に私が初めてなの? 疑わしい。

「もう、アラサーのおばさんだよ…」

「キレイです。僕にとってはそれだけです」

「さっきペペロンチーノ食べたの。ガーリックがいっぱい入ってた」

「だと思った」

 言うなり、亮平君は唇を重ねてきた。柔らかい唇に胸がトキめいた。私から舌をねじ入れた。吸われた。強く吸われた。

 情熱的なキス。旦那意外との初めてのキス。

 唾液を交換し、やがて離れた唇。それだけで寂しくなってしまった。だから私は亮平君の下半身に手を伸ばした。

 カチカチになっていた。私を求めてくれている。そう考えたら胸が温かくなった。ドキドキしたり、トロけたり、温かくなったり。不静脈を起こさないか心配したら、亮平君に胸をつかまれた。

 大きな手。でもしなやかな指が、ふくらみに食い込んでくる。服の上から乳首を探り当てられ、つままれた。

「アンっ!」

 取りだして、と亮平君がささやく。「奥さんがさすってるモノ、取りだして。早く埋めないとふくれ過ぎて破裂しちゃう」

 ベルトを外し、ズボンの中に手を差し入れた。それは、すぐそこにあった。指先が当たるとビクンと跳ねた。

「うぅっ…」

 亮平君のうめき声がかわいい。パンツの中で行き場を失っているそれを直に触った。つい旦那と比べてしまう。だって、旦那としか比べようがないから。

「すごい…」

 思わずつぶやいた。旦那より1回り大きかった。そしてカチカチだった。たくましい男根。エラの張り出し具合が想像を超えていた。これが自分の中でひっかかるのだ。

「入るかな…」

 私が心配したら、

「そんなにコスったら出ちゃう……」

 亮平君は情けない声を出した。

「ダメ、絶対我慢して」

 何となく立場が逆転したような気がした。

 それで少し余裕ができた。

 私は亮平君の男根を取りだし、自らの赤い傷口に当てがった。ここから先はでも、亮平君からきて。熱烈に求められる心地よさ思い出させて。そんなことを思いながら、亮平君の耳に吐息を吐きかけ、耳たぶを甘噛みした。

「奥さんっ!」

 亮平君はケモノになった。

 私の片足を抱え上げ、立ち正常位の体勢で彼は男根を埋めてきた。ヒダをかきわけ、膣を押し広げ、奥まで一気にふさがれた。

「ひあっ、アァッ!」

 息が止まるほどの圧迫感。激しく突かれ、コスられ、試着室の壁が軋んだ音を立てる。 

 旦那以外の男。そして若さ。立っているのがやっとで亮平君にしがみついた。

「奥さん、やべぇ、あぁっ、奥さん!!」

「ハァンっ、あぁ!」

 バレちゃう…、そう言いたいのに、声にならない声が漏れるばかりだ。それどころか、はしたないと思うのに自らも腰を動かしていた。

 旦那じゃないからかもしれない。旦那じゃないから、貪欲に快楽だけを求めることができるのかもしれない。

「アンっ、やっ、んっ、もっと…もっと深く、アァっ、はんっ!」

 更衣室のカーテンが少し開いていた。人の姿が見えた。こちらを見ている。ような気がした。

「マジやべえ、ハァ、奥さんっ、俺、もう!」

 亮平君の動きが激しさを増した。旦那の形しか知らない私の身体も、もう限界に達していた。爆発的な快楽に気が狂いそうだった。

「ああ、奥さんっ!!」

 その時だった。亮平君のひときわ重い一撃につらぬかれた。息が止まる。あえぎ声さえ出せなくなった。

 そして――。

 下腹部がぎゅんっ、と重くなり、その直後に苛烈な収縮が全身を覆い尽くした。亮平君の男根を絞り上げるように。

「ぬあぁっ、がっ!」

 亮平君も達したようだ。ビクンっ、大きく震えた。

 中はダメ、と思うのに身体のコントロールがまるで利かない。抜くことができなかった男根から、大量の若い白濁が流れ込んでくるのが分かる。

 私の身体はそれでもなお、収縮を繰り返す。一滴残らず白濁を吸い尽くそうとする。著しいで頭が真っ白になりかけた頃、彼の痙攣が止まった。

 ハァ――ハァ――。

 荒い息を整えながら亮平君は男根を抜いた。エラの出っ張りがひっかかり、

「んあっ!」

 イったばかりの敏感な身体はそれだけで迫り上がり、2回目に襲われそうになったけど、手の指を噛んでどうにかこらえた。

「亮平さん。お客さんです、お願いします」

 カーテンの外から女性の声がした。声の調子で、試着室の淫行はバレてないのだと思った。

「ごめんなさい」亮平君は頭を下げた。「僕、行かなくちゃ。あのこれ……後で連絡ください。色々話したいので……」

 亮平君は名刺を差し出し、私はそれを受け取った。そうして素早く身なりを整えた亮平君は、最後に軽くキスをくれて試着室を後にした。

深みにハマる前に

 ――色々話したいって何だろう。

 若くてイケメンの彼と、もっと愛とか恋とか甘い言葉をささやき合ってみたい気もするけど、当然、簡単な恋愛話にはならない。私には旦那がいる。そして子どももいる。

 身なりを私も整え始めた。帰りにレディースクリニックに寄ってアフターピルを処方してもらう必要があるな、と思いながら。

 試着室のカーテンを開けると、亮平君は若い女の子の接客をしていた。私以外に向けられた爽やかな笑顔に胸が騒いだ。

 まずいな。さっそく嫉妬をしている。深みにハマる前に――。

 私は亮平君の名刺を握りつぶしてその場に捨て、こっそり店を後にした。(おわり)

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