あらすじ
ずっと好きだった女の子、同級生の咲良が、今、隣の兄貴の部屋にいる。僕はその様子をベランダからのぞき見ている。咲良の太ももを兄貴の手がなぞり、おっぱいに舌が這う。見たくないのに目が離せない。そしてついに、咲良の処女が兄貴によって――。
※約4400文字
のぞきなんてしたくないのに…
軽い気持ちだった。
大学生の兄貴に合コンをセッティングするよう半ば強引にお願いされ、合コン経験なんてない僕は困って、同級生の藤川咲良(ふじかわ・さくら)に相談してみた。
そしたら、
「いいよ。セッティングしようか? 何人呼ぶ?」
咲良は笑顔で応じてくれたのだった。
助かった。顔が立つ。
その時は、その程度にしか思わなかった。
実は僕は彼女をことをずっと思い続けていた。
学年で1、2を争う美少女である咲良が僕を選ぶことはあり得ないと、最初からあきらめてはいたけれど、彼女とたまに言葉を交わすだけでも幸せだった。
だから、咲良とメシを食ったりカラオケではしゃいだりするのはどんなに楽しいのだろうと、合コンを心待ちにさえしていた。
僕はバカでウブで徹底的に浅はかだった。
本来合コンの目的は、「彼女を作ること」あるいは「ヤルこと」。
今となっては兄貴の本心なんてどうでもいいが、そんな基本的なことにも思い至らないまま、僕は合コンに参加した。
男のメンバーは僕と兄貴と兄貴の友達。
女は咲良と咲良の友達ふたり。
3対3。
最初からカラオケだった。
普通のカラオケボックスより、広くてお洒落で照明も優しくてソファもフカフカで、メニューにローストビーフなんか出てきたりして、高級感が漂っていた。
咲良を見たとたんに兄貴が目の色を変えたのを感じ、ああ、ヤバイな、とやっと察知したけれど全ては手遅れだった。
兄貴はイケメンで背が高く、女性慣れしていて、バイトをしているので少なくとも僕よりはお金を持っているし、少なくとも僕より世間を知っていて話が面白かった。
僕が兄貴に勝てる要素なんて全くなかった。
それなのに、合コンの最中、咲良はずっと僕の隣にいてくれるものだと勝手に思い込んでいた。愚かだった。
合コンで兄貴と話す咲良の表情は、僕が今まで見たことがないものだった。
頬を染め、耳を赤くし、はにかんだ笑みを浮かべ、何秒間も真っ直ぐに兄貴を見つめながら流行りのラブソングを歌ったりした。
胸が苦しくてローストビーフには手を付けられなかった。咲良とはほとんど言葉を交わさないまま4時間くらい経過して、その場はお開きになった。女子はお金を徴収されなかった。そして、僕も。
兄貴にとって僕はただの仲介者だった。ありがとな、と店を出る時にお礼を言われた。僕は屈辱で唇をかんだ。
散会する前にみんなでグループチャットを作ったけれど、その後、兄貴と咲良はきっとふたりでやり取りしていたのだろう。そう思うだけで眠れない夜が続いた。
そして……。
合コンから2週間ほどたった今日という日。日曜日の夕方。
隣の部屋には咲良がいる。
兄貴の部屋で、兄貴とふたりきりで……。
僕は……。
その様子を……。
知りたくないふたりの様子を……。
わざわざマンションのベランダに出て……。
カーテンの隙間からのぞいている。
咲良の白い体
最初は楽しげに会話をしていたふたりだった。
頼む頼む頼む、そのまま時間だけが経過してくれ。
そんな僕の切実な願いは届かなかった。
兄貴がベッドの上におもむろに横になって咲良を手招きした。
咲良は戸惑う様子を見せつつも、ベッドのふちにちょこんと座った。何度も髪を撫でつけ、緊張しているのが明らかだった。
そんな咲良に兄貴が手を伸ばし、腰に腕をからめて抱き寄せた。
咲良はバランスを失ったように兄貴の隣に倒れた。
白いワンピースのスカートがめくれ、太ももがあらわになった。まぶしいくらいに白い。ワンピースよりも、白い。そう感じた。
兄貴はその白い太ももに!
手を……大きな手を……這わせた。
2度、3度と撫でる。
咲良は恥ずかしがって顔を手で隠す。
そんな咲良の手を兄貴は優しくどけて、上から顔をのぞき込んだ。
地震でも起きて欲しい!
このままだとふたりは……キスをしてしまう!
祈りを込めて目を強く閉じた。
1秒、2秒、3秒……。
しかし、待ったところでタイミングよく地震なんて起こるはずもなく。僕は目を開けた。
ふたりは見つめ合っている。たっぷり視線をからめ合わせている。
兄貴が何かひと言、咲良に声をかける。咲良は小さくうなずいた。
兄貴が咲良に顔を寄せる。咲良が目を閉じる。そして、ふたりの唇が重なった。
助けてくれ!
誰か助けてくれ!
胸がつぶれそうだ!
苦しい!
のぞきなんて本当はしたくないんだ!
兄貴と咲良の口がもごもごと動く。ふたりの舌が見え隠れした。地獄のように長いキスだった。
地獄はまだ終わらない。
濃厚なキスを続けながら兄貴の手がスッと咲良の胸に伸びた。まだ発展途上の控え目な胸。ワイシャツから透けて見える下着に、僕はいつも胸をときめかせていた。触れたくても決して触れることのできなかった2つのふくらみ。それを兄貴は、何の躊躇もなくまさぐる。
乳首に触れたのかもしれない。咲良が身をよじった。
兄貴はワンピースを肩から脱がせ始めた。
白の清潔なブラジャーが見えた。そのまま兄貴の手は咲良の背中に回り、
ハラリ。
ついに咲良の、太ももと同様に、いや、それ以上に白いオッパイがあらわになった。
座位、という密着感の悪夢
のぞきをしてて苦しくて吐きそうだった。
世の中にこんなにつらいことがあるなんて、知らなかった。
兄貴が咲良のオッパイにむしゃぶりつき、同時に僕はうなだれてベランダに膝をついた。震える体を僕の足は支えきれなくなっていた。
それでも……。
体はこんなに悲鳴を上げているのに……。
どうしても目が離せない。
再び顔を上げると、咲良はワンピースを全て脱がされていた。白いショーツ一枚きり。
兄貴は咲良におおいかぶさり、首、胸、脇、お腹、とキスを落としていく。そうしながら頭を下半身に移動させていった。
咲良は身をよじりながらも、一切の抵抗を見せることなく、兄貴のなすがままだった。
兄貴の顔が女の子の一番大切なところに埋まった。
びくん、と咲良のなめらかな体が震えた。
僕の体の震えもいっそう大きくなる。
ふたりの声が聞こえないのが救いだった。
きっと咲良は、僕の大好きなかわいい声に、さらに甘さを上乗せした声を漏らし、兄貴を興奮させている。そうに違いなかった。
咲良は、兄貴の前では、どんなふうに鳴くんだろうか……。
兄貴の手がショーツにかかる。
咲良の口が「だめ」と動き、兄貴の頭を手で押し返した。
暴れろ!
そう思った。
起き上がって、暴れて、兄貴を拒否しろ!
そうすれば隣の部屋で騒ぎを聞きつけた、という理由で僕は咲良を救い出すことができるのに……。
淡い期待でしかなかった。
要は恥ずかしがっているだけなのだ。
軽い抵抗を見せる咲良の手をかわし、兄貴はショーツをヒザまで降ろした。咲良は顔を手でおおった。
ショーツはさらにスルスルと下降し、きゅっ、と締まった足首をすり抜け、咲良は完全に一糸まとわぬ姿となった。
裸にむかれた咲良の中心に、兄貴が再び顔をうずめる。
咲良は端正な顔をゆがめ、体を弓なりに反らす。うっすらと生え茂った縮毛が見え隠れした。
細くしなやかな体をよじるたびに、咲良の控え目なおっぱいは、たわん、たわわん、と波打つ。
兄貴は下半身に顔を埋めながら手を伸ばし、咲良のツンと立った乳首をコリコリもてあそんだ。
咲良の体は何度も何度もビクン、と大きく跳ねる。
この時になって初めて、のぞきをしている自分の体の異変に気付いた。
アソコが――。
固くなっていた。
「ウソだろ……?」
つぶやいた。
涙が出てきた。
悔しくて、悲しくて、ふがいなくて……。
自分でも説明のつかない感情がどんどん湧き出てきて、スエットの中に右手を差し入れて握った。カチカチだった。
兄貴が咲良の下半身から顔を上げ、自ら服を脱ぎ、真っ裸になった。
そして、咲良のケガれなき秘部に肉棒をあてがった。
いよいよ最終局面に達してしまったのだ。
僕は流れる涙もそのままに、ムスコをしごき始めていた。
兄貴がゆっくりと肉棒を咲良に突き立てていく。
――ああっ!
ベランダでのぞきをしている僕の耳に、かすかだけど咲良の声が届いた。よっぽど大きな声を出したのだろう。
痛いか、咲良?
苦しいか?
かわいそうな咲良。
それよりもっとかわいそうな僕。
咲良ののけぞる体を凝視しながら、僕は痛いほど固くなっているスエットの中をシゴき続けた。
兄貴の腰が動くたびに、咲良に浮かぶ苦悶の表情。
兄貴は咲良の腰を抱き上げ、正常位から座位の体勢に移った。
密着度が急激に増した。
咲良は兄貴の首に腕を回し、しがみついた。
兄貴も咲良の背中に手を回し、抱き寄せた。
つぶれる。
咲良のおっぱいが兄貴の胸でふにゅ、とつぶれる。
つらい、苦しい。
何で僕は咲良の相手になれなかったんだろう。
思いながら僕はスエットの中の右手を動かし続ける。
兄貴の腰の動きが速くなる。
――ああっ、んっ、はぁんっ!
咲良のあえぎ声が窓ガラスの向こうから聞こえ続ける。
兄貴が腰を何度も突き上げる。
咲良のお尻が上下に揺れる。
――ああ、イクッ!
突然兄貴の雄叫びが聞こえ、腰の動きが速くなった次の瞬間、
兄貴は弾き飛ばすようにして咲良から離れた。
咲良の体がベッドの上でバウンドする。
乱れた髪に隠れて咲良の顔は見えなかった。
そんな咲良のお腹に、兄貴の熱い体液がほとばしる。大量にだ。咲良の白い肌が、さらに白いモノによってけがされていく悪夢。
中に出さなかったのは兄貴の良心、なのだろうか……。
それは僕にとってせめてもの救いと呼べるのだろうか……。
兄貴はしばし放心した後、咲良のお腹に放射された、いやらしいミルクを拭き取り始めた。それが終わると咲良の隣に寝そべって耳元で何やらささやく。
咲良はそれに笑顔で応え、兄貴の胸に頭を乗せた。ずっとずっとずっと触りたかった咲良の柔らかそうな髪が広がり、兄貴が優しく頭をなでる。
僕はムスコをしごくのを止めた。
もう少しというところまで達していたが、イカなかったのは幸いだった。
イっていたらきっと、ひどい自己嫌悪におちいっていたことだろう。
のぞきの時間は終わった
気がつけば陽はだいぶ傾き、夜の気配が濃くなりつつあった。
明日学校で会ったら咲良に何て声をかければいいのだろうか。あんなに激しい行為に応じた咲良は本当にバージンだったんだろうか。
答えがみつからないまま、僕はのぞきを止めて自分の部屋に戻った。(おわり)
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