筋肉男子の駅弁スタイル
狭い室内。テーブルも邪魔で、ソファ上での交わりは難しかった。
だから真菜は淳君に抱え上げられていた。モニターの前だ。ニットもスカートも身に付けたまま、ショーツだけを脱がされた状態で挿入されていた。
「あっ、淳君…ハァ…重く…ない……?」
「大丈夫です…はぁ…岩本さん、細いです。軽いですよ…」
いわゆる駅弁スタイル。筋肉男子の淳君だからこそ可能な体位。
旦那なら腰がクラッシュする。そもそも旦那は淡泊で、正常位か、たまにバックで突いてくるだけだし、セックスの回数自体が年に数回程度だった。
「細いのにおっぱい大きくて、旦那さんが羨ましいです!」
そんなことを言いながら、淳君はカチカチの凶器を突き上げてくる。大きさにも固さにもすぐに参った。しかも淳君にしがみついている自分の体重で、怒張した凶器は信じられないくらい奥まで埋まった。
「あっ、あぁぁっ! すごい、何コレ! 何なのぉっ!」
旦那のモノでは届かなかったところに淳君なら届く。突かれるたびに、焼け付くような快感が全身をかけめぐる。
思わず淳君の背中に爪を立ててしまった。だけど、「いてっ」と一瞬表情をゆがめながらも、淳君は腰の動きを止めなかった。
ズブズブ、ズンッ――。
「アンっ、やぁっ! もっと、もっとぉぉ!」
真菜を抱えたまま、ふいに淳君がマイクのスイッチを入れた。
「あっ、ハァ! やん、声、私の声! 恥ずかしい!」
「めちゃくちゃ色っぽいっす!」
凶器が猛獣のように私の中で暴れ回る。膣を押し広げ、奥にある禁断の扉をノックするたびに、真菜の嬌声をマイクが拾い、エコーがかかり、室内に響き渡る。
恥ずかしいのに、口をつく言葉は裏腹だ。
「ちょうだい! もっとよ! 激しくしてぇ!」
真菜は必死になって淳君の首にしがみついた。時々飛びそうになる意識を繋ぎ止めるため、背中に爪を立てるだけでなく、彼の首に噛みついたりした。
それでも淳君は動きを止めない。強く強く、そして深く、どこまでも深く凶器を突き立ててくる。
「アッ、ダメ! イク、イっちゃうぅ!」
久しぶりの感覚だった。
下腹部のあたりでキツい快感の予感が発生して、それはみるみる大きくなった。
「もうダメぇぇぇ!!」
「岩本さん、俺もイクっ!」
淳君の腰の動きが一気に加速する。
こんな力がまだ残っていたなんて。激しくかき回されて、頭も体も自分のものじゃないみたいになって、もう噛みつく余裕もなくなって、しがみついていた腕の感覚を失いかけた時、真菜の内蔵がギュッと収縮した。
収縮は激しい痙攣を生み、真菜は達した。
「アッ、アァ、ヒィィィィッ!」
「やばいっ! そんなに締め上げられたらっ!」
淳君はイク瞬間、凶器を抜き去った。
信じられないことに真菜を片手で抱きかかえながら、真菜に男の熱い液体がかからないよう凶器の位置をコントロールした。
若さってすごい。筋肉ってすごい。そんなことを考えていたら、やがて真菜の意識は真っ白になった。
始めての失神の後
~君だけを~愛してる~♪
調子外れの歌声で目を覚ますと、ソファーの上に寝かされていた。
何事もなかったかのように淳君は歌を歌っている。真菜の頭を優しく撫でながら。
危ない危ない、と真菜は思った。
これで歌が上手だったら、道ならぬ恋に落ちていたかもしれない。
始めての失神で、まだ気怠い腕を持ち上げて、淳君の腹筋に触れた。振り向いた淳君がにっこり笑う。
「ほら、腹式呼吸忘れてるよ……」そう言うと、淳君はお腹に力を入れた。やっぱり惚れ惚れするような固さだった。
室内のカメラを見た。誰かがカメラの向こうからのぞいているような気がした。(おわり)
コメント