王様ゲームは止まらない
王様ゲームが始まってから、さらに30分ほどがたっていた。あまり遊びを知らない清楚な彼女たちは、とても楽しそうにはしゃいでいた。
「王様だーれだ!」
今度は涼子さんの手から、割り箸が引き抜かれた。
「あ、私!」詩織さんが王様だ。「ええとね、じゃあ、1番が4番のほっぺにチュー!」
「4番って誰だよ!」
「王様抜かして3番までしかいないし!」
「あ、そうだっけ」
「詩織ちゃんらしいなぁー」
「1番が3番のほっぺ! もう、ちょっと間違えただけなのに!」
ぷくっ、と頬をふくらませた詩織さんの天然ボケもいい具合に場を盛り上げた。悲しいことに1番が俺で3番が長野だったが、これも王様ゲームの醍醐味だ。
男同士のチューの最中、涼子さんと詩織さんはキャーキャー騒いでいた。今の命令がけっこう重大な分岐点であることにも気づかずに……。
そう。ついに粘膜が発動されてしまったのだ。
ゲームの特性上、王様ゲームは次第にエスカレートする他ない。ほっぺの後は耳や首へのチュー、あるいは一気に唇へと発展する。際どさが急激に増す。
長野もそのことに気づいているのだろう。俺の唇が自分の頬から離れた後、俺を見てニヤリと笑った。
エスカレートする王様の命令
「王様だーれだ!」
「あ、はい! 俺! よしよしよし!」
詩織さんの手から引き抜いた割り箸を見て、手を上げたのは長野だった。これで男同士の線はなくなった。
「じゃあ、2番が3番にキス。唇ね。でも軽くだぞ、軽く。ちゅっ、と爽やかに」
俺が3番だった。俺のむふふなターンが決定した瞬間だった。
「きゃー私が2番だよぉ~」
可愛い悲鳴を上げたのは詩織さんだ。詩織さんを気に入っている長野は俺を睨んだが、これはゲームだ。個人的な感情でルールを変えることはできない。
「恥ずかしい~」
手をうちわにして顔を扇いでいた詩織さんだったが、やがて意を決したように、俺に顔を近づいてきた。
「キャー! 詩織ちゃん、するのするのー!?」テンションマックス涼子さんのせいで、
「涼子さん、ちょっとそういうこと言わないでよー!」詩織さんは顔を真っ赤にした。
それでもゲームは止まらない。
ためらい、胸に手を当て呼吸を整えた詩織さんの唇が、ついに俺の唇に当たった。ほんの一瞬だったが、その柔らかさはしっかり俺の股間を直撃した。
「やだもうー……」
顔を手で覆ってうつむく詩織さんは超絶可愛かった。涼子さんも一緒になって顔を手で覆い、足をバタつかせた。スカートの奥の白い太ももと、さらにその奥にある白い布がチラリと見えた。
楽しい。楽しすぎる。今まで生きていた中で、一番楽しい。
いや、今が頂点ではない。これからどんどん楽しさは増す。これで死んでもいいと思えるほどの幸運を運んできてくれる、それが王様ゲームだ!
涼子さんと詩織さんのディープキス
次の次のターンで、一気に弾けた。というか弾けさせた。
王様は俺。
命令は、抱き合いながらのディープキス10秒間。
リスクはあった。彼女たちがどん引きしてしまう可能性があった。それに、涼子さんと長野がマッチングしてしまったら切ない。
だが、どちらも杞憂に終わった。
ということは――。
「詩織ちゃん、いくよ?」
「旦那との初めての時よりドキドキするぅ~」
そう。涼子さんと詩織さんの組み合わせになったのだ。己の強運を褒めてやりたい。まずは女性同士でハードルを飛び越えさせ、エッチな気分に火を点けたいタイミングだったからだ。
2人はぎゅっ、と抱き合った。お互いの乳房が乳房でつぶれた。ユ○クロかイ○ンかヨ○カドーで買ったであろうシンプルな服がこすれ合い、サッ、とかすかな音を立てた。
そして、恥ずかしがる2人の唇が重なった。
「1、2、3……」俺がカウントダウンで、
「あれー? それがディープキス? 全然舌が絡まってないよ~」長野がはやし立てる役だった。
「んっ、んん!」
涼子さんが俺たちに何か言いたげだったが声にならなかった。しかしその拍子に、絡まり合う2枚の舌が見えた。
唾液でテカり、うごめく女性同士の舌。ゆっくりカウントダウンしていたら、何度かニチャ、と湿った音が漏れた。
乳房につぶれる乳房という絵も、生で見るのは初めてだった。おかげで欲情が一気にスパークした。肉棒が震えた。怒張して、いきり立った。
横目でうかがうと、長野もポジションを直していた。
やがて10カウントを終え、彼女たちの口が離れた時には、涼子さんの瞳は濡れていた。
そろそろイケる、と俺は直感した。
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